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囲繞地の通行料はどれくらいの金額にすれば良いのか?

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他人の所有地を通過しなければ公道に出られない“袋地”を囲むように立地する土地のことを、“囲繞地”といいます。
また、囲繞地の持ち主は、袋地の持ち主から通行料を得ることができますが、この金額については、一体どれくらいに設定すべきなのでしょうか?
今回はその点を中心に解説したいと思います。

民法の規定で考える通行料の適正金額について

囲繞地で発生する通行料は、袋地の持ち主が囲繞地を通過するための権利、つまり“囲繞地通行権”を行使する際に発生します。
そして、民法では、この際一般的に、通行する側が通行される側(囲繞地の持ち主)に対し、通行料を支払わなければいけないという規定が設けられています。
ただ、民法には、これ以上の細かいルールが記載されていません。
つまり、民法だけを参考にしても、通行料の適正金額を判断できないということですね。
では、次は具体的な金額の算出・設定方法を見ていきましょう。

①近隣の事例を参考にする

適切な通行料を算出する方法には、まずシンプルに、“近隣の囲繞地における事例を参考にする”という方法があります。
つまり、周辺エリアの囲繞地における通行料を調べ、それを考慮して金額を設定するという方法ですね。
しかし、この方法を取る場合、まずは周辺のどこに囲繞地があるのかを調べる必要があります。
外から少し見ただけでは、その土地がどんな種類のものなのか見分けられませんからね。
また、囲繞地を発見できたとしても、その持ち主に通行料に関する情報を開示してもらえるという保証はありません。
したがって、この方法はシンプルながら、少し難易度が高いものだと言えます。

②土地鑑定評価の結果を基準にする

適切な通行料を算出する方法としては、不動産鑑定士に“土地鑑定評価”を依頼し、その結果を基準に算出するという方法も挙げられます。
この場合、基本的に地価と連動している土地鑑定額が高くなれば、ある程度高めの通行料を設定できるケースが多いです。
ただ、そもそも通行料には相場というものが存在しないため、「高めにできる」「高めにできない」ということがわかったところで、設定金額が高いのか低いのかを判断するのは難しいです。
また、土地鑑定評価は、費用の面で考えると決して簡単に依頼できることではありません。
不動産鑑定士に依頼する場合、30万円程度の費用がかかりますし、1日2日で終わるものでもないため(約2週間)、時間と費用に余裕がある方のみ、実施を検討しましょう。

③近隣の駐車場の利用料を参考にする

適切な通行料を算出するためのユニークな方法としては、“近隣の駐車場の利用料を参考にする”という方法もあります。
これは、読んで字の如く、近くにある月極駐車場の月額料を調べ、それを考慮して通行料を設定するという方法ですね。
月極駐車場には、幅2.3~2.7mのものが非常に多いです。
一方、囲繞地において通行を許可する幅は、一般的に2m程度であるため、駐車場の幅と同程度であることがわかります。
つまり、囲繞地の通行幅を“貸し出す”と考えたとき、同程度の幅の駐車場を“貸し出す”料金を参考にすれば、自ずと適切な通行料を設定しやすくなるということですね。

通行料を受け取れないケースについて

囲繞地の持ち主は、袋地の持ち主から通行料を受け取れるという話をしましたが、場合によってはこれが受け取れない可能性もあります。
以下に該当する場合に通行料を請求すると、トラブルが発生したり、袋地の持ち主との関係性が悪くなってしまったりするため、注意しましょう。

・袋地の前所有者から通行料を受け取っていなかった
袋地の前所有者から通行料を受け取っていなかった場合、たとえ袋地の持ち主が変わったとしても、新たに通行料を請求することはできません。
これは、前所有者に“通行地役権”があったという扱いになり、新所有者はその権利を継承できることが理由です。

・分筆、譲渡に伴って袋地になった場合
元々、通常の土地を所有していた方が、分筆あるいは譲渡によって袋地を所有することになった場合、囲繞地の持ち主は袋地を所有することになった方に対し、通行料を請求できません。
これは民法第213条で定められているルールですので、覚えておきましょう。

・共有物分割に伴って袋地になった場合
共有していた土地を分割したことで、袋地を所有することになった方からも、囲繞地の持ち主は通行料を受け取れません。

・競売に伴って袋地になった場合
土地が競売にかけられ、それにより袋地が発生した場合も、囲繞地の持ち主は袋地所有者から通行料を請求できません。
このルールも、民法第213条にしっかり記載されています。

まとめ

ここまで、囲繞地の通行料に関することを解説してきましたが、理解していただけたでしょうか?
これから再建築不可物件を購入する方の中には、「通行料を得たい」という理由で、囲繞地の購入を検討している方もいるかもしれません。
ただ、もしそうするのであれば、購入前の通行料の発生状況や、受け取れないケースについてしっかりリサーチしておく必要があります。
再建築不可物件や市街化調整区域についてのご相談は、日翔レジデンシャル株式会社にご相談下さい。
親身になって対応させて頂きます。