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再建築不可物件における勘違いしやすい点について

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再建築不可物件は、所有者の方であっても勘違いが発生しやすい物件です。
また、今後売却したり、リフォームしたりすることを考えている方は、できるだけ勘違いをなくしておかなければいけません。
今回は、再建築不可物件における勘違いしやすい点について、詳しく解説したいと思います。

再建築不可物件は“違法建築物”?

建築基準法またはこれに基づく法令、条例に違反して建てられた建築物を”違法建築物“といいます。
また、再建築不可物件がこの違法建築物に該当すると思っている方も中にはいますが、これは正しい認識ではありません。
違法建築物は、あくまで最初から許可等を得ずに建築したものや、建築後に増加築や用途変更を行ったものを指します。
一方、再建築不可物件は、法令の改正によって再建築できなくなってしまった“既存不適格建築物”で、違法建築物とはまったくの別物です。
ちなみに、接道義務の基準が施行されたのは昭和25年の11月23日であり、それより前から存在する物件に関しては、すべてが再建築不可物件、つまり既存不適格建築物に該当します(増改築等をしているものを除く)。

再建築不可物件で大規模な修繕・模様替えはできる?

建物の修繕や模様替えの中でも、規模が大きいものに関しては、建築許可申請がいる場合があります。
ただ、延床面積500㎡以下、木造2階建てもしくは平屋建ての建物であれば、修繕や模様替えをする場合でも、建築確認申請をする必要がありません。
では、再建築不可物件での修繕・模様替えはどうなのかというと、同じく基本的に建築確認申請はしなくてOKです。
なぜなら、再建築不可物件の多くは、前述の規模より小さいからです。
しかし、再建築不可物件では、そもそも大規模な修繕・模様替えが認められていません。
つまり、再建築不可物件では、建築許可申請がいるかいらないかを考える必要もないということですね。
建築許可申請がいらないからといって、自由に修繕や模様替えができると勘違いしてはいけません。

再建築不可物件では一切修繕ができない?

再建築不可物件は、原則建て替えができない物件です。
また、再建築不可物件では、わずかな修繕も許されないと思っている方も少なからずいますが、これは大きな勘違いです。
先ほど解説した“大規模”に当てはまらない修繕であれば、再建築不可物件でも行うことはできます。
そして、大規模に当てはまるかどうかに関しては、主要構造部にどれだけ手を加えるかで判断されます。
具体的には、以下の部位を半分以上交換する場合、“大規模な修繕”に当てはまるとされています。

 主要構造部:壁、柱、床、梁、屋根、階段

逆にいえば、これらを交換する場合であっても、半分以下であれば行うことができます。
ちなみに、主要構造部ではない以下の部位に関しては、再建築不可物件であっても自由に工事できるため、安心してください。

 自由に工事できる部位:間仕切り壁(構造上重要でない)、間柱、付け柱、二重床、最下階の床、回り舞台の床、小梁、庇

たとえば、“最下階の床”の工事は自由にできるため、再建築不可物件における1階の床に著しい破損・劣化が見られる場合は修繕できるということです。

間口が2m以上であれば、必ず接道義務を満たせる?

再建築不可物件は、接道義務を満たしていない物件です。
また、接道義務を満たしていない物件でもっともよく見られるケースには、間口が道路に2m以上接していないというケースがあります。
ただ、道路に接する間口が2m以上あれば、必ずしも接道義務を満たせるわけではありません。
たとえ広々とした間口があっても、接する道路が建築基準法上の道路(原則幅員4m以上)でなければ、その物件は再建築不可のままです。
ちなみに、どれだけ間口が広くても、道路に直接接していない物件は再建築不可になりますので、これも覚えておきましょう。

建築可能にするにはセットバックするしかない?

再建築不可物件を建築可能にする一般的な方法としては、セットバックが挙げられます。
セットバックとは、自身が所有する物件を後退させることで、接道の幅を広くし、建築基準法上の道路に変更するという作業をいいます。
また、再建築不可物件を建築可能にするには、この方法を実践するしかないと思っている方も中にはいますが、これは間違いです。
隣地を購入することでも、建築可能にすることはできるからです。
具体的には、道路に接する間口が1.5mしかない再建築不可物件の所有者が、隣地の間口を0.5m購入することで、間口を2mにし、建築基準法を満たすというような方法ですね。
したがって、すべての再建築不可物件の所有者が、必ずしもセットバックする必要はないのです。

まとめ

ここまで、再建築不可物件における勘違いしやすい点を解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
確かに、再建築不可物件は制約の多い物件ではありますが、まったく売却・活用できない物件というわけではありません。
また、知識があればあるほど、効率的かつスムーズ売却したり、活用したりできる可能性はアップします。
再建築不可物件や市街化調整区域についてのご相談は、日翔レジデンシャル株式会社にご相談下さい。
親身になって対応させて頂きます。