TOPコラム不動産売却時、足かせとなるさまざまな制限について

不動産売却時、足かせとなるさまざまな制限について

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他の物件にはない良さを持っている不動産ほど、売却時には買い手が集まりやすくなります。
逆に、通常の物件にはない“制限”を持っている不動産は、使い勝手の悪さから敬遠される傾向にあります。
今回は、不動産売却時の足かせとなってしまうさまざまな制限について解説したいと思います。

①再建築不可

通常の不動産は、既存の建物を建て替えたり、敷地内に新たな建築物を建てたりすることができます。
そのため、“再建築不可”はやはり大きな足かせだと言えます。
再建築不可物件は、名前の通り建て替えができませんし、基本的には敷地内に新たな建築物を建てることも認められていません。
また、再建築不可物件は、以下のような戦略で売却するのも難しくなります。

・リノベーションをしたい方をターゲットに安く売り出す
・更地にして高値での売却を狙う

再建築不可物件でリノベーションを行うことは、決して不可能ではありませんが、通常の不動産よりも制限を気にしながら行わなければいけないのは事実です。
また、更地にしたところで、そこに新しい建物は建てられませんので、高値で売れるどころか、むしろこの戦略の方が買い手は付きにくくなるでしょう。

②建蔽率

「住宅の1階部分の建築面積(床面積)を、敷地面積の〇%以下にする」という制限が“建蔽率”です。
以下の式で計算されます。

・建築面積/敷地面積×100%

建物を建てたり、規模の大きいリノベーションを行ったりする場合には、作成した設計図を行政に提出し、建築許可を得なければいけません。
しかし、このときエリアごとに定められた建蔽率を床面積がオーバーしていると、その許可申請は却下されます。
また、不動産売却時、建蔽率が足かせとなる可能性もゼロではありません。
例えば、リノベーションを前提とした不動産売却を行う場合、建蔽率の関係でリノベーションが難しく、泣く泣く戦略を変更しなければいけないことも考えられます。

③容積率

「住宅における延べ床面積を、敷地面積の〇%以下にする」という制限が“容積率”です。
建蔽率とよく似た制限ですが、対象が延べ床面積となっているところに違いがあります。
以下の式で算出することが可能です。

・総床面積/敷地面積×100%

例えば、容積率150%のエリアで、100㎡の土地を持つ場合、その物件の建築可能な延べ床面積(総床面積)は150㎡となります。
これを超える延べ床面積での建築はできません。
また、不動産売却を行う物件においては、容積率の関係で、「2階建てまでなら増改築可能だが、3階建ては難しい」ということが起こり得ます。
そのため、最初から上限ギリギリの容積率になっている不動産は、増改築を検討している買い手には敬遠されやすくなります。
ただ、一部の用途地域では、容積率の制限がかなり緩くなっていることもあるため、不動産売却時前には、必ず所有物件の所在地における容積率を確認しておかなければいけません。

④絶対高さ制限

建築基準法によって定められている、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域に建築可能な建築物の高さに関する制限が“絶対高さ制限”です。
具体的には、上記のエリアにおける絶対高さ制限は、10~12mと定められています。
したがって、当該エリアでの不動産売却で「10~12m以上に不動産を増改築したい」という買い手が現れても、売却は難しくなります。
例えば、元々小規模(1~2階建て程度)だった建物を増改築し、4階建て、5階建てのオフィスとして使用したい方などです。
ただ、戸建て住宅の売却時に関しては、3階建て以上の増改築を望む買主はなかなか現れませんので、そこまで絶対高さ制限が足かせになることはないでしょう。

⑤農地法

不動産売却時は、“農地法”の制限を受けることもあります。
農地の売却は、農業委員会の許可を前提として締結されます。
そして、農地として売却する場合は、農地法第3条による“売買(所有権移転)許可”、農地以外で売る場合は農地法第5条による“転用許可”を取らなければいけません。
中でも、転用は許可してもらうのが難しいです。
つまり、農地を農地以外として売却する際には、農地法が大きな足かせになる可能性があるということです。
転用の許可を得るには、“立地基準”と“一般基準”という2つの項目をクリアしなければいけません。
立地基準は、農地の区分によって転用の許可・却下を決めるもので、市街地に近い農地ほど、基本的には許可を得やすくなります。
また、一般基準は、その農地の転用目的の必要性・確実性などにより、許可と却下が判断されるものです。
例えば、「とりあえず農地を更地にしておきたい」などの転用理由は、一般基準を満たしていないと判断されてしまいます。

まとめ

ここまで、不動産売却時に足かせとなるさまざまな制限を見てきましたが、いかがでしたか?
売却する不動産に前述のような制限があることがわかっても、それが売却活動を行う直前の場合、どうしても買い手が付くまでの期間は延びてしまいます。
そのため、少しでも売却を検討しているのであれば、早めに売却する物件の制限について確認しておくべきです。
再建築不可物件や市街化調整区域についてのご相談は、日翔レジデンシャル株式会社にご相談下さい。
親身になって対応させて頂きます。